「だって……彼女は?」


箱を持つ手が震えた。




「少し前に、きちんと、終わらせたよ。もう、涙を見せる女はごめんだ……って言っただろ」


そう言うと、今日、2人きりになった時に渡したチョコレートを手に取り口に入れた。




意地悪をしたくて買った……


とても苦いビターチョコレートを。






「うわっ、苦っ……」


途端に彼の顔が歪んだ。




「ごめんなさい、だって……」


「いいよ……」




彼は、そう言うと……私の言葉を繋げさせなかった。