「貴様!ゆるさん、名誉のために死ね!」


 言うが早いが、ガラドと名乗った騎士は腰につけていたピストルをスイに向ける。


 おろかな・・・・・。


 火の民はその炎こそを最大の武器だったはずなのに、そんなオモチャに頼ってしまうほど落ちぶれたのか・・・。


「させるかよ!」


 ピストルの原理は不明だ。


 しかし、相手が火の民である以上、彼の持つ武器が『火』を原動力とすることは用意に想像がついた。


 だから、スイの方が動きが早かった。


 一瞬にして水浸しになるピストル。


 空中にある水分を一気にその場に集中させたのだ。


 先ほど花を咲かせるために、エネルギーを使い果たした感はあるが、ここで踏ん張らなければ男じゃない。


 あぁ、喉が乾くな・・・。


 水の使いすぎだ。


「なっ・・・。」


 驚いた声と表情を上げるガラト。


 炎は水に弱い。


 案の定、ピストルはカチャカチャと音を立てるだけで、そこから何も動きらしい動きはなかった。


「オモチャではなく、きっちりと貴様の流儀で戦って見せろ、火の民!」


 お前の武器は炎のはずだ。


 俺の武器が水である以上、お前はそれを使うしか俺に勝機はないはずだぞ。