「水?」


「いいから、騙されたと思って。」


 言われて、恐る恐る水筒に口をつけるミク。


「美味しい。」


 先ほどの主人とは違って、素直な言葉だった。


 当たり前だ、まずい水なんて商売にはできない。


「だろ?いいから、これ全部飲んでから歌ってみてよ。きっと変わるから。」


 スイは笑顔を向けて、何気に左手を地面にかざした。


 ちょっとした禁忌魔法。


 だけど、咎めるものは生きてないし・・・いいよね、こういう使い方なら・・・。


 言うが早いが、スイは地面にかざす左手に意識を集中させる。


 探し出すのは、地下水脈。


 ・・・・・・・・・流れろ、水!


 ・・・・・・・・・・・・そして、ミクの歌声が響き渡る。