「ドルチェ・プレート?」
目の前に置かれた
奇妙で美しい形のドルチェが
1つのプレートの上に
飾られていた。
「……」
綺麗、だけど……。
「見たくない、ですか?」
ドキッ!
男の言葉が
稚奈の胸に突き刺さる。
「どう言う意味ですか?」
稚奈は、弾かれるように
そのウェイターを
にらみ上げると
ウェイターは
優雅に頭を下げて言った。
「失礼致しました、このプレートの名前は『不自然な行進曲-マーチ-』と言います」
「不自然な行進曲-マーチ-?」
その名前を聴いて
稚奈の胸の鼓動が
嫌なくらいに高鳴った。
胸の奥に
不安な波紋が広がるような
その、名前――
稚奈は
そのプレートに置かれた
奇妙な形をした
ドルチェを見つめた。