『…この電話は電源が…』





何度もひなの携帯にかけるも


聞きたくもない女の人の声を


何度も聞かされた


俺が聞きたいのはこんな声じゃない


俺が聞きたいのは


馬鹿でかい声で『ゆうくん!!』って叫ぶ


ひなの声なんだ…







『ピロロロロロロッ』






もう何度も聞いたこの機械音


でも今度は違った





『ピロロロロ…ッ』





その音は途切れ、遠くに波の音と


少し荒い息の音が聞こえた





「ひ、ひな!?」





『ゆ…くん…ッ』





…愛しいひなの声がこぼれた