「痛っ……!」


何かにつまづいた。………服?


軍服の裾が地面に垂れていた。 広場のベンチで寝ている軍人。たぶんあたしとそんなに年が変わらなそうなまだ若い少年兵。こんな時間に何やってるの?


「………軍人さん!?サボリですかー!?」


彼は飛び起きて周囲を見渡した。


「……あんまり大声でサボリとか言うなよッッ!」
「あれ?ホントにサボリだったの?」
「……………」


あの人と初めて出逢った日。ちょっと腹が立って寝てる彼を大声で起こしてやった。ただそれだけだった。


それだけだったのに……。


あなたは一体いつ仕事をしてるの?って
言いたくなるくらいそれから毎日のようにお店まで来て、あたしに会いに来た。

………お店の場所。教えなきゃよかった。

どんどん心があなたで埋まっていく。


そのせいで辛い思いもたくさんしたのに。それなのに離れたくなかった。


どこにいるの?
元気にしてる?
怪我はしてない?



………生きてるの?



━━あなたが死んだのを知ったのは既に1年経ってからだった。



あなたはいつもどこかへ行く時は絶対にあたしに黙って行ったよね。いつ死ぬかわからない。心配かけたくないから黙って行く。 それが口癖。


だけど、 本当に帰って来れない時は
来てくれたよね……?自分でわかってたんでしょ?無理だって事。



あたしとあなたが初めて出逢った日と同じ場所で、同じ様に寝てるあなたを見て、あぁ………あの頃と全然変わってないって安心したの。


次逢う時はまた生きて逢えるといいね。でもきっと大丈夫。またこうしてすぐ見つかるから…。