身振り手振りのオーバーリアクションで話す健児だが、悪い人には思えなかったので、凛花は三ヵ月後、健児と付き合うことに決めたのである。
　
　しかし、付き合いだしてすぐに健児の本性は露わになった。マザコンだとか、暴力を振るうわけではないのだけれど、付き合う前より身振り手振りの激しさが増している。

　デートで公園に行った時のこと、健児はすべり台の上に駆け上り、両腕を広げ叫んだ。


「凛花～、俺は君を愛している。さぁ、こっちへおいで」


「ちょっと、恥ずかしいから降りてきてよ」


　公園で遊ぶ子供達が笑っている。

　顔を真っ赤にした凛花が健児にそう答えると、健児は膝を落とし、大きな声で叫んだ。


「どうしてなんだ！　こんなにも、こんなにも愛しているのに、君に僕の愛が届かないなんて。お願いだ、こっちへ来てくれ」


　何、この芝居じみた行動は……。

　見ていてあまりにも恥ずかしくなった凛花は、公園を飛び出して家路に着いた。

　もう、何なのよ。あれ、わざとやってるんじゃないのかしら。冗談にしてもやり過ぎよ。恥ずかしいったらありゃしない。