気がついたらボクは晃永くんに掴みかかっていた。

こんなことできるなんて信じられないけど。

許せない気持ちが凄く膨らんで、弾け飛んだ感じだった。

一発。

ボクの平手が晃永くんの頬を激しくヒットした。

でも、それだけ。

逆にボクはお腹を蹴られ、そこから1メートルくらい吹っ飛ばされる。

ガンッと頭が壁に当たって、眩暈がした。

視界が霞み、うまく前が見えない。

そんなボクを見下すように晃永くんは見ながら、「そんな大事なら」と言った。


「そんなにこれが大事なら、取りに行け」


ポンっと窓の外に投げ捨てられるチョコの箱。

でも、それは見た目こそチョコの箱だけど。

雲母ちゃんの想いなんだよ。

気持ちなんだよ。

晃永くんに恋した雲母ちゃんの心が詰まった大事なもの。


「ダメ!!」


ボクは立ちあがっていた。

自分でも本当に信じられなかった。