晃永くんはすぐに見つかった。

2階のボクたちの教室の前の廊下で、ぼんやり外を眺めていた。

その手には雲母ちゃんのちょっと不細工なチョコの箱が握られていて。

近づいてくるボクを見つけると、にやりと意地悪く笑った。


「へぇ……女みたいな男のおまえでも。

男みたいなあの女のためなら頑張るんだなー」


嫌な言い方をする。

ボクは確かに女の子っぽいと思う。

意気地もないし。

男らしくない。

優柔不断で。

運動神経だってない。

細くて、白くて。

儚げでいいなんて言う女の子もいるけど、それで喜ぶ男子はいないし。

でも。


「雲母ちゃんを侮辱しないで」


足は震えるよ。

ボクと対照的に背は高いし。

筋肉質だし。

色黒いし。

はっきり、高圧的で。

すっごく怖い。