桜が満開の校庭。
ヒラヒラと花びらが散る中……。


あたしの泣き声が響いてた。


「うぅ……春ぅ~!!!」


「もうそんなに泣かないの、ね?」


3月。
無事バレンタインデーを終えた後に、向かえた春の卒業式。


「だって……寂しいんだもん」


春が卒業しちゃうの寂しいんだもん。
なかなか会えなくなっちゃいそうで。


むぅっとしていると、春は微笑みながらあたしの頭を撫でた。


「卒業したって永遠の別れじゃないんだし。ね?」


子供をあやすようにあたしを慰める春。


「だけどね?だけどね?」


涙が止まらないんだよぉ。


ゴシゴシ制服の袖で涙を拭っていると、春はあたしを抱き寄せた。
そしてあたしの頭をよしよしって撫でる。


「そんなに泣いてるとキスするよ?」


「なっ!?」


驚いてあたしの涙は引っ込む。
するとどんどん顔を近づけてくる春。


「まままま待ってっ。みんな見てるから!」


周りを見ると、生徒がたくさんいてそれぞれ別れを惜しんでいる。
慌てて春の胸を押すと、春は頬を膨らませながら顔を離す。


「残念♪」


残念じゃないよぉ……。


あたしは春を睨んでいると、まだある春のブレザーの第2ボタンが目に止まった。


あ……。