委員会が終わって昇降口で待っていると、愛しい姿が目に止まった。


背が低くて、童顔で。
すごく可愛い柚未。


順調だって思ってた。
すべてが……。


でも。
俺に抱きついてきた柚未は、泣いていた。


「春……」


「ん?」


「……優しさなんていらないの」


「え?」


突然の言葉に俺は声が掠れた。


「あたし……もっと確信がほしいの!春にはあたしだけなんだって確信が!」


確信……。
そんなの……。


「俺には……柚未だけだよ?」


俺にはホントに柚未だけなんだ。
柚未さえいてくれればいいんだ。
だから、柚未を抱き寄せようとした。
でもそれは柚未の手によって阻止された。


「違う!!」


涙が溜まった柚未の瞳が俺を見上げる。


「春は誰にでも優しくて……!!それが嫌なの!!」


誰にでも優しい……?
俺が?
柚未は……。
それが嫌だったの?


頭がこんがらがった。
どうしたらいいのか、分からなくて……。
俺は、走り去る柚未を追いかける事ができなかった。