人影が…

こっちに向かって走ってくる



逆光で顔はわからない



でも



すぐにわかったよ……









なんで………

人の気も知らないで…



早く忘れたいのに…







「…神田!!!」





返事ができないあたし



息を切らして走ってくる佐藤さんをただ泣きながらみてる





―ガシャン―…



佐藤さんがぶつかって1台の自転車が倒れた



その音にビクッとした瞬間にまた抱きしめられた






「…ごめんなあ」





………そのごめんはなんのごめん?





なんで抱きしめるの?





離れたくなくなっちゃうじゃん





「いっぱい泣かして…ごめん………」





またそうやって優しい言葉をかける





「…離し…て………」





「………やだよ」





「………離して!!!もうやだ!!もっと好きになっちゃう…もう優しくしないでっ!!!」