目を細め、人を見下すような顔は、瑠衣とそっくりだ。


それが綺麗な顔立ちだからか、余計に冷めて見えてしまう。



「何が言いたいの?」


「瑠衣のこと、怖くならない?」


その言葉で思い浮かんだのは、あの日の彼の、狂気の瞳。


一瞬返答が遅れたあたしを見て、アキトは口角を上げる。



「百合はただ、瑠衣に同情してるだけだよ。
放っとけないのは、愛でも恋でもない。」


言葉が出ない。


どうしてアキトはいつも、あたしと瑠衣をそんな風に言うのだろう。


愛や恋じゃなければダメなのだろうか。


刹那、「アキトくん?」と、後ろから彼を呼ぶ声が響いた。



「あぁ、アミさん。」


アミさんと呼ばれた彼女は、すました顔でこちらに近づいてきた。


夜の蝶、しかもきっと高級クラブであろう、その雰囲気には息を呑む。


恐ろしく美人で、その顔のつくりはどことなく、詩音さんに似ている気がするが。


アキトの笑顔は、だけどもいつもと何も変わらない。



「この子は?」


滑らされた視線は、人を値踏みするようなもの。


きっと彼女に意識はないのだろうが、でもプライドの高さが滲み出ている。



「俺の友達。」


そう、と言ったアミさんは、自分で聞いておいて、あたしに関心のひとつも示すことはない。


そして彼女は切り出した。



「ねぇ、瑠衣は?」