気持ちはわかるし、それはあたし自身、常々思っていることだ。


けれども反面で、瑠衣に依存している度合が大きくなっているのもまた事実。



「真綾はカレシとか作んないわけ?」


「うち、そんな綺麗な恋愛とかしたことないからなぁ。」


苦笑い混じりの、彼女の言葉。



「それに、こんな仕事してる以上、相手のこと傷つけるかもやし。」


なら辞めれば?


なんてことを言えるほど、あたしは軽薄ではなかった。


真綾が金を稼ぐ理由は、聞かない方が良いのだと思ったから。



「うち、一生独りで生きていく覚悟はしてるからな。」


悲しそうに、彼女は言う。


強いだけの人なんていない、と思わせるような顔だった。



「百合りんは、こんな街に染まったらあかんよ。」


もう無理だよ。


自分が思う以上に馴染んでいて、何より瑠衣があのままである以上、あたしは何も望まないから。


真綾が好きだったあのピンク色のカクテルの名前を聞いておけば良かったと、今では思うよ。