真綾から電話が鳴ったのを良いことに、ついでに彼女も呼んだ。


さすがに香織の醜態には口元を引き攣らせていたが、真綾は好みのホストと適当に喋り、無視を貫いていた。


こんな新人ホストのどこが良いのかわかんないけど。


曰く、「ホストに染まってる男は嫌いやねん。」らしい。



「流星は相変わらずやなぁ。」


ほとんどぐったりとしている香織を横目に、真綾は言う。



「百合りんかてこんな店、似合わへんやん。」


「それ、ジュンには聞かせられないね。」


「ジュンが悪いヤツちゃうのはわかるよ。
けどあの男も、ホストなんか向いてないんやし。」


断言するように、彼女は言った。


真綾こそ、こんな夜の街よりずっと、太陽の下の方が似合っているのに。


けれど、人にはそれぞれ理由があるということ。



「まあちゃん、久しぶりだね。」


戻ってきたジュンは、先ほどの怒りもどこへやら。


顔に出さない辺り、さすがはオーシャンのナンバーツーなのだろうけど。



「今、ちょうどジュンの悪口言うてたとこやねん。」


「おいおい、それは俺のいないとこで言えって。」


「アンタはホンマにアホやなぁ。」


真綾は呆れ返っていた。


あたしは笑ってしまい、このふたりはいつもこうだと思ってしまう。