「仲良いよね、ふたりって。」


むくっと起き上がった香織は、煙草を咥えた。


酒の所為で目が据わってて、睨まれているようにも感じてしまう。



「ヤッてんの?」


ストレートに聞かれた疑問。


あたしとジュンは顔を見合わせ、眉を寄せる。



「かおちゃん、何怒ってんの?」


ジュンはなだめるように言うが、でも香織はそれが気に食わなかったのか、舌打ちを混じらせた。



「百合ってそういう女だもんね。」


あたしがどういう女だと思っているのかは知らないけれど。


とても良い言葉には聞こえず、でも酒の席なので怒りを押し殺した。


香織はいつも、不平不満。


誰かを羨んで、何かを欲しがって、なのに満たされない顔ばかりする。


あたしはそれが嫌いだった。



「香織、飲み過ぎでしょ。」


言うと、睨まれたが、でもちょうどのタイミングで流星が戻ってきた。


この男が来てくれて良かったと思ったのは、初めてだ。


代わりに席を立ったのはジュンで、彼もまた、このふたりを好ましく思っていないことは知っているけれど。


狂わせたものは、一体何なのか。