あたしの存在は、瑠衣にとって重荷なのだろうか。


だとするなら、あのアミという女が言ったように、今は気まぐれなだけで、そのうち子供共々捨てられたりするのかも。


急にまた、怖くなる。



「百合、さっきの気にすることねぇからさ。」


部屋に戻り、瑠衣の開口一番がそれだった。



「アイツとはもうとっくに終わってるし、プライド高ぇから勝手に怒ってるだけ。」


何だか言い訳めいて聞こえる。


終わってるからとか、プライドが高いからとか、それはあたしには何の関係もないことだ。


過去なんて結局は変わらないし、それを積み重ね、今があるのだろうから。



「なぁ、心配すんなって。
今の俺には、お前が一番大切なんだから。」


昔の瑠衣ならば、口が裂けたってこんなことは言わなかった。


それは喜ぶべきことなのか、どうなのか。



「ごめん、頭痛いし寝て良い?」


百合、と彼は、背を向けようとしたあたしの腕を掴み、制止する。



「俺のこと、そんなに信じらんねぇ?」


「……え?」


「じゃあ、何すればお前は満足すんの?」


ひどく冷たい瞳と苛立った顔に、ぞっとした。


普段、落ち着いてる時は良くても、一度怒ると瑠衣は、シャブの切れ目の時のような苦々しい表情に変わるのだ。



「アミのことで腹立つのわかるけど、お前にだって過去はあんじゃねぇのかよ!」