ことごとくプライドを傷つけられたような彼女だったが、そこは夜の世界の住人だ、ぐっと怒りを押し殺した顔で腕を組んだ。


けれどその表情ひとつを取ってみても、やっぱりどことなく詩音さんに似て見える。



「大体、アキトくんも何やってんだか。
いきなり携帯は解約しちゃってるし、最近じゃ…」


「アキト、もういねぇから。」


瑠衣は抑揚のない声色で、彼女の言葉を遮った。



「……え?」


「あっきーはもう死んだの。」


「ちょっと、嘘でしょ?」


途端にアミさんは驚いた顔になる。


まぁ、無理もない話だろうけど。


戸惑うようだった彼女は、そこで初めてあたしの顔をちゃんと見たのだろう、何かを思い出したようにハッとした。



「あ、あなた確か…」


あたし達は一度だけ、ほんの少し顔を合わせた程度だ。


けれど、その記憶力には感服させられる。



「まさか、あなたが瑠衣をこんな風にしちゃったわけ?」


「アミ、百合に突っかかってんじゃねぇぞ!」


瑠衣が横から口を挟むように制止するが、



「瑠衣が誰かのものになるだなんて、ナンセンスだわ。
とんだ茶番よ、ただの気まぐれでしょ?」


たたみ掛けるように彼女は鼻で笑う。



「瑠衣が誰かひとりで満足して、大切にするなんて出来るはずないじゃない。」