「子供さぁ、女の子だったらお前に似た、生意気で気が強ぇヤツになりそうだよな。」


「ちょっと、それって悪口?」


「体売っちゃっうし、挙句、俺みたいなのと結婚するとか言ってきたらどうしよう、って考えるだけで嫌。」


不貞腐れたように頬を膨らませるあたしを無視し、彼は続ける。



「で、男の子だったら…」


そこまで言った瑠衣は、一度言葉を切り、顔を俯かせた。



「男の子だったら、アキトみたいに真っ直ぐなヤツに育ってほしいんだ。」


彼はそのまま、あたしの肩口に顔をうずめてしまった。


言葉が出ない。



「俺に似たってどうせろくなヤツにならねぇだろうしさ。」


そんな悲しげな呟きを聞き、あたしはわざとのように口角を上げた。



「でも、顔はきっと瑠衣に似る予感がするの。」


「おいおい、それ嫌だって。」


「何でよ、あたしアンタの顔好きだよ。」


「顔だけかよ。」


「だってその顔がなかったら、後はただの、どうしようもないだけのヤツじゃんか。」


そりゃそうだ、と瑠衣は笑ってくれた。


今にして思えば、宿った命をアキトの生まれ変わりだと思うことで、あたし達は必死で乗り越えようとしていたのかもしれない。


彼は息を吐いた。



「俺、もう絶対、シャブとは縁切るから。」


「…うん。」


「これ以上お前泣かせるようなことしねぇからさ。」




信じて良いんだよね?

あたし達はもう大丈夫だよね?