瑠衣はフローリングに倒れるように寝転がり、顔を覆う。


あたしはその横にぺたんと座ったまま、憔悴しきったように途方に暮れていた。


それからどれくらいが経っただろう、少し震える息を吐いた彼は、やっと沈黙を破り、口を開く。



「俺、アキトの母親とヤッたんだ。
生きるために、復讐のために、金のために、って。」


「…うん。」


「でも雅子さん、自殺しちゃった。」


自嘲気味に、彼は言う。



「俺と親父を混同してさ、頭の中と現実がぐちゃぐちゃになったみたいに錯乱するようになってな。
もっと苦しめば良いんだ、って思ってたら、さ。」


結局、死んだんだ。


ぽつりと落とされた言葉が、瑠衣の虚しさを表しているかのよう。



「でもそれって結局はさ、俺が殺したようなもんじゃん?
親父も、雅子さんも、アキトも、みんな俺の所為だ。」


そこまで言った彼は、悔しそうに唇を噛み締める。


運命とは、どうしてこんな風に、想いとは別の方向に歪んでいくものなのだろう。


瑠衣だって小さな頃は、普通の男の子だったはずなのに。


なのに、全ては残酷なまでにねじ曲がっていく。



「シャブ喰ってたらさ、その間だけ全部夢の中での出来事みたいに、ふわふわしててさ。
ゆっくり数字数えながら、目を瞑って堕ちていくんだ。」


聞きたくないとあたしは、耳を塞いでかぶりを振り続けた。


けれど顔を覆っている瑠衣が、それに気付くはずもない。



「そんでセックスしたらすげぇ気持ち良くて、このまま死んじゃっても良いやー、って、ちょっとだけ楽になれるから。」