浩之はその鈍い輝きを見ると、動くのをやめた。

「エイジュはどこだ?」
 
男の声が言った。

追っ手だった。

「知らない」
 
答えると、目の前からナイフが退いた。

代わりに後ろから膝の裏を蹴られて、浩之は床に転がった。

体を起こす間もなく、背中を、腹を、頭を、蹴りつけられた。
 
痛みが、これでもかと、体を襲ってくる。
 
浩之は逃げるように床の上を這って後ずさりし、目を上げて、黒ずくめで、短髪の男を見た。
 
唇を、笑いに歪めている。

この状況を、め一杯楽しんでいる様子だ。