彼女はうずくまった姿勢でそれをしのぐと、浩之の方を振り返った。
 
ついて来いと言いたいらしい。
 
浩之は、破られたガラスの間をくぐり抜けた。

鋭く突き出した割れ残りが、袖と腕の皮膚をひっかいて、裂いた。
 
この分だと、エイジュは、もっとひどく傷付いているハズだった。

それなのに、裂け目から這い出して、見た彼女は、剥き出しの足さえ、無傷に見えた。    
よく見ると、数箇所に赤い筋があり、間を置いて血を吐き出し始めるのだが。