浩之は、薪を、燃えている、紙束の周りに組み上げた。

この建物に負けないほど朽ちて乾いた薪は、気味がいいくらい次々に燃えついていき、暖炉の中を赤く染めた。
 
英樹のタカラモノが、灰と化して炎の中で揺らめいている。
 
浩之は、暖炉から遠ざかろうとして身を起こした。

「あちっ」
 
驚いて、襟元を覗き込む。
 
いつの間にかボタンが取れ、開いていた襟元に、青い色があった。
 
エイジュのくれたものだ。
 
熱せられた空気で焼けたネックレスのチェーンが、浩之の肌に触れたのだ。
 
浩之はハッとした。