「今日は朝早いね」

「あぁ、大ちゃんが迎えに来てくれたから」

そう言うと、遼は「ふーん…」と言って、大ちゃんの方をチラッと見た。

「………なんだよ」

「べっつにー。」

「喧嘩でもしたの?」

「………美憂が気にする事じゃないから。」

ニコッと笑い、あたしの手をギュッと握った。

「美憂、屋上行かない?」

「んー…大ちゃんは行く?」

「行かねぇ。」

「だったらいいや。」

「じゃあ俺も行かなーい。」

何故か遼が、握った手を離さない。

「……………」

大ちゃんが無言で、遼を睨んでいるのが見える。

「り、遼…?」

「ん?なぁに?」

か、可愛い…!

なんかいつも以上に可愛い!


「なんか可愛いね、今日…」

「そう?ありがとー」

普通に会話していると、大ちゃんが立ち上がって、遼に握られている手を引っ張った。

「痛っ……」

「遼、離せ。」

「何で?」

険悪なムードが漂う。

あれ、何でこんなことになってるの?


「……まぁいっか、仕方ないから今日は離してあげる。」

ニコッと可愛い笑顔を見せた遼は、ゆっくりとあたしの手を離した。

「大智は嫉妬が激しいからね。」

大ちゃんに怯んで離したわけではないみたいだ。


―ガラッ…