それ以上近づかないでよ。


怖くないけど。


「ふん、本当は怖い癖に我慢しやがって、体が震えてるぞ。」


酒井修司が私の肩を触ろうとしたから、思い切りその手を払った。


こんな男に負けたくない。


「気安く触るじゃないわよ。私に触っていいのは、銀ちゃんだけなんだからね。」


言ったぞ。


益々震えが止まらない。


「銀平の奴、今頃おまえがいなくて慌ててるだろうな。襲名披露の日に、嫁さんが拉致されたなんて面白いだろ。」


面白くないわ。



「俺はあいつが嫌いだから、あいつが大切にしてる者を奪った。おまえはもう銀平の元には戻れない。覚悟しろよ。」


覚悟なんかとっくに出来てけど、こんなやり方間違ってる。

正々堂々と戦いなさいよ。


あんたが銀ちゃんに敵うわけないんだから。


汚い手使うなんて本当に最低な奴。


私が許さない。


世間だって許すはずかない。


本当に憎らしい男。


こらしめてやる。


見てなさいよ。