怖がらせてばかりだな。


本当にすまない。


情けなくて、涙がこぼれた。


「大丈夫だから、私は銀ちゃんの妻をりっぱに勤めてみせる。」


真子、無理をするな、体が震えてるぞ。


無理に笑いやがって、俺の為に頑張る真子を見ると、俺も切なくてたまらない。


このまま真子をベットに連れて行くか。


「若、組長がお呼びです。」


親父に何かあったのか。


近頃寝たきりの日が多い。


「親父、具合はどうだ。」


顔色が悪い。


「今日はだいぶいい。襲名披露に俺が出ない訳にはいかないだろ。それまでにまだ充分時間があるから、回復するさ。」


親父は他人事のように話を続けた。


四代目酒井修司は、切れると何をするか分からない男。


本当に怖い奴だと。


当日何も起こらない事をひたすら祈った。


真子には指一本も触れさせねぇよ。


俺が命に代えて、守り抜く。