次の朝早く龍人さんと、新鮮な魚を買いに市場に行った。


こんな早い時間に起きた事はない。


「龍人さん、眠いよぉ。」


「真子は使用人なんだから、雇い主の俺には逆らえないんだ。」


銀ちゃん、そっくり。


やだ。


「銀を思いだしたのか。」


「全然。」


「真子その姿を、銀に見せてやりたいな。」


いえ、見られたくありません。



だってダブダブズボンに、ダブダブのジャンバー。



そして長靴、絶対、これはおっさんだ。



「真子は何着ても可愛いよ。」



それは誉め言葉のつもりですか。


「龍人さん、早く買い物済ませましょ。」


「上手い朝飯食わしてやるから、市場の中に超上手い店があるんだ。」


それはちょっと楽しみかも。


お腹も空いてるし期待しちゃうよ。


ここにいれば銀ちゃんのことも、純ちゃんのこともきっと忘れられると思った。


龍人さんは仕事になると厳しいけど、本当に気持ちの優しい人だから。


ずっと、ここにいたい。