買い物に行くのが、そんなに楽しいのか。


俺の手を取り早く早くと急かす真子。


バカに積極的だな。


「マサさんに靴買って上げていいかな?」


何で真子がマサに靴を買ってやるんだ。


真子は何を考えてる。


「マサさんのボロボロの革靴を見た事ある。安くなってるし、私のお小遣いで買えるから駄目かな。」


そんな可愛い顔をしても駄目。


駄目だと言えば、真子は必ず拗ねるから。


「革靴は俺が買ってマサに渡す、それでいいな。」


「銀ちゃん、大好きありがとう。」


本当に真子はげんぎんだな。


でも、ここで聞いて置きたい。


「どうして、マサに革靴を買ってやろうと思った。」


真子が切ない顔をする。


「鉄二さんに、マサさんは妹さんの入院費で大変だと聞いたから。靴をプレゼントしたかったの。マサさんにはいつもお世話になってるからね。」


真子は優しすぎる。


その優しさは、時には罪だ。


マサの喜ぶ顔が目に浮かぶ。


靴は真子からのプレゼントにすればいいか。


俺にだって、マサの思いが痛い程分かるから。