あの日、若が好きな女を組員みんなに紹介し、結婚する事を告げた。


女遊びが激しかった若が結婚する。


俺は本当に嬉しかった。


若が連れて来た女が娘の真子だと知った時、俺はあまりの驚きで声も出ない。


何でなんだ、これは悪夢か。


嘘であってほしいと何度も思った。


俺は組長に呼ばれて。


「真子さんはおまえの娘だってな。銀が惚れた女が鉄二の娘で、俺は嬉しいよ。おまえも色々思うことがあるだろうが、二人を祝福してやってくれないか。鉄二、頼んだぞ。」


俺は組長に無理矢理、納得させられた。


若に真子を諦めて貰うしかない。


若には悪いが、真子の事はどんなことをしても諦めて貰う。


若に真子を幸せに出来るはずがないのだ。


若、お願いします、真子の事は諦めて下さい。


真子も目を冷ませ。


朝田銀平は極道なんだぞ。


俺と同じ極道を何故に選ぶ。


情けなくて涙がこぼれた。