「あら、違うの? 優人」

と、音々先輩が腕組みをして部長に言った。


「ち、ち……」


「もえぎちゃんのこと、好きなんじゃないの?」


すると部長は口を閉じて。

手をゲンコツにして。


そして。


バッと着ていたシャツを脱ぐと、その“モエギガスキダ”のTシャツをガバッと被った。


「俺は、もえぎが好きだ!」


高らかに彼は言った。


サークル員は、やんややんやとはやし立てる。


「悪いな、聖二」


「うるせー」


聖二は苦笑い。


ぶ、部長……。


「もえぎちゃん、これからもヨロシク」


部長が私に囁いた。


私は感極まって大粒の涙を流した。
 

私と、部長の。


あたらしい世界が始まるのね。


部長はもう苦しまなくていいのね。


やわらかくてあたたかな世界を――。
 

永遠に。  


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