「トランペットの音を聴くと、どうしてもさやかのことを思い出してしまうから。だから、ホルン以外の金管楽器のない室内楽のサークルを立ち上げたんだ」


「そうだったんですか」


部長の手は、水を扱ったせいか、ひんやりとしていた。


「金管も、入れて、みるかな」


部長の言葉が夏空に吸い込まれていく。


きっと、さやかさんがそこで部長を見守ってくれている。


もう、大丈夫。


部長はきっと大丈夫。


帰ったら、家の大掃除をしようね、部長。