それにしても、今日は暑いな。


いや、米沢という土地が、夏は気温が高いところなのかもしれない。


私は大きく伸びをした。


何もしていないのに、汗が出てくる。


「もえぎちゃん」


やがて、部長が私を呼んだ。


ゆっくりと歩いてくる。


「さやかさんと、お話は終わりました?」


うん、と彼は大きくうなずいた。


「何て言ってました?」


「もう、こだわらなくていいよ、って」


部長は私の目の前に来た。

彼も同じく、汗ばんでいた。


「来てよかった。なんだか、心が、晴れた」


空を仰いで彼は言った。


「がんばって、生きてね。だって」


うんうん、と私は笑顔でうなずいた。


すると部長は――。


自然に、あくまでも自然に、私の手を握り、歩き出した。