「ここだ――」


黒い墓石には、“桜田家”と書かれてあった。


私と部長は、水でお墓を綺麗にし、仏花を捧げ、お線香をたいた。


私は数秒目をつむって拝むと、そっとその場を離れた。


さやかさんと部長を、ふたりきりにしてあげた。