バスに乗り、降りたところでちょうど花屋さんがあったので仏花を買った。


さやかさんの眠っているところは霊園で、いくつものお墓が並んでいた。


陽が高い。
緑が濃い。
セミが大合唱している。


夏だなぁ。


「ちょっと、待ってて」


と、言われ、私は木陰で待っていると、部長はどこからかバケツとひしゃくを持ってきた。


「管理室から借りてきた」

と彼は言った。


それにしても、お墓の数ってすごい。


まだお盆前だからか、献花されているお墓は少ないようだけれども。


ここへ、還るのね。


人間、みんな。


ここで、土の下で、眠るのね。


「こんなにお墓多くて、どれがさやかさんだって解るんです?」


「さやかのばーさんが亡くなった時、ここに来たから覚えてる」


彼女のおばあさんのお葬式に出るくらい、仲がよかったのか。


私と部長は、石の階段を昇ったり降りたりしながら、ひとつのお墓の前に着いた。