「黙ってらんなかったから」


何故か、半ば怒り気味に彼は言う。


聖二が、私を――?


「……」


「周りはみんな、知ってたよ。俺がもえぎを好きだってこと。オマエには、はっきり言わなきゃ解らないだろ」


「……」


「オマエ、俺のこと、眼中になかったもんな」


そう言うと、聖二はまたペットボトルに口をつけ、コーラを飲み、キャップをしめた。


「ま、もえぎの気持ちは解ってるけどさ」


「私の、気持ち?」


サアァァァ……と、一筋の心地よい風が吹いた。


甘い香りが漂ってきた。


聖二の、髪の毛の香りだ。

彼の髪は、夕陽に透けて、黄金色になっている。


もともと色素が薄い聖二。

ぱっと見、外国人がハーフのひとのように見える。