「うん。私も、夏は好――……」


私はそこまで言って、ハッとして聖二を見た。


聖二は前かがみに座っていて、私の視線に気づくと、口元だけで笑って見せた。

「好きだよ、もえぎ」


聖二は、今度はベンチの背もたれに寄りかかり、私の顔をしっかりと見て言った。


「……」


私は、あまりにも突然のことに何も言えないでいた。

とっさに何て返せばいいか、解らなかった。


聖二は黙って、また前かがみに座り、両手を組み、地面をじっと見ている。


「す、好きって、何で……」


「何で、って。好きなもんは好きなんだ。初めてもえぎと会った日から」


「え、だって、聖二、彼女」


単語しか出てこない。


聖二は中学の頃からつきあってきた、遠距離の彼女がいるはずだった。


「とっくに別れてるよ。オマエを好きになってから」

「えっ? え、えっと、何で、今になって、そういうことを……」