細い腕。細い肩。


こんな身体で、部長は一体何を抱えているの?


どうして、壁にあたまなんか打ち付けていたの?


なぜだか、私も涙が出てきた。


私たちは、薄いブルーのベールを被った朝もやの時間から、お日様が世界を色鮮やかに染めるまで、まるで母親が子どもを抱くかのように、抱き合っていた。


私はずっと起きていたけれど、部長はやがて、私をきつく抱きしめたままうとうとと眠っていた。


さやか。


さやか――……誰だろう。

うちのサークルにはその名前の子はいない。


ただ、その“さやか”が、部長があたまを壁にうちつけたりする一因だとは思った。


“会いたかった”そう言って笑う部長は、本当に幸せそうだった。


“さやか”のことが解決すれば、部長はお酒で暴れることもなくなるんじゃないかな。


なんて、ふと、思った。