床に寝転がっていた私は、ぱっと飛び起きた。


ゴン! ゴリゴリ……ゴン! ゴリゴリ……。


「ダメです、部長!」


私は彼のあたまを抱きかかえた。


コブはできていないようだったけれど、この白いコンクリートの壁にあたまを打ち付けるなんて、相当痛いだろう。


部長の姿が痛々しかった。

今、部長は私の胸の中でぐったりしている。


かなり、酔っているのかな?


「さやか?」


部長は、血走った目で私にそう言った。


目がとろんとしている。


「さやか」


部長、私を誰かと勘違いしている……。


「さやか」


部長はその名を何度も呼び、目に涙を溜めて笑っている。


誰かと間違われてもいい。

部長が、笑顔でいてくれたら、それでいいよ。


「会いたかった……」


彼はそう言うと、私の背中に腕を回し、抱きしめてきた。


「――」