「部長……」


ああ、このひとは。


きっと、淋しいんだろうな。


そう思って。


私は、か細い部長の腕を紐解いて。


部長のあたまを抱えて、私の膝にのせた。


いわゆる、膝まくらの状態に持っていった。


部長は、泣き続けてはいたものの、大声を出すことはなく、すすり泣いている。

「明日も練習ですよ。目、腫れますって」


私はそう言い、テーブルからおしぼりをとり、部長の目にあてがった。


――これが、部長の言う“暴れる”なのか。


どうしちゃったんだろう。

いつものひょうひょうとしている部長からは想像がつかないよ。


何があったんだろう。


いつも、こんな生活を送ってきたの?


いつから、こんな生活を送ってきたの?


こんな部長を見せられて。

私、ますます彼のことを気にしちゃうじゃない……。