部長はそう言って聖二を制した。


「――」


聖二は、気のせいか暗い顔をして立ち尽くしていた。

そして、口唇をきゅっと結び、小走りで睦緒たちの群れを追いかけて行った。


「イジワル言っちゃったかなっ」


部長は私の目を見ていった。


目がうつろ。


「部長、飲みすぎ」


「……飲まなきゃ、やってられないよ」


サッ、と東雲部長の表情が変わった。


いつもひょうひょうとしている部長だけれども。


なん……目つきが。


目つきが鋭くなって、眉間には深いシワをよせている。


こんな部長、初めて見た――。


「やっぱ、飲みすぎでしょ、部長」


私にもたれかかって、全身をあずけているけれど全然重たくないの。


部長、もしかしたら……もしかしなくても、私なんかよりはるかに体重軽いと思う。


「飲んでなんぼ」


いつものひょうひょうとした部長に戻った。


飲んでも顔、赤くならないんだな。


白い、というか青白い。


不健康そうに見える。


さっきだって、えだまめとビールしか口にしていないんじゃないかな。


「部長、とりあえずタクシー乗りましょう」


「その前に、酒買っていきましょう」


「部長ってそんなにのん兵衛でした?」


「うん。毎晩飲んで、暴れてるよ」


「暴れる、ってそんな」