「は、はい?」


私と、聖二?


「好き合ってんだろ」


「えっ、な、何が?」


私はうろたえてしまう。


「聖二ともえぎちゃんがくっつくきっかけになればいいと思って、ジャズフェスの編成一緒にしたんだよ」

「私は別に、聖二のことなんて、ただの友達にしか思ってないです」


「そうか。じゃあ、聖二の片恋か」


「まさかそんな。聖二も睦緒も、ただ単に仲がいいだけですよ。それに聖二、遠距離で彼女いるし」


「なるほどね」


部長はそう言って含み笑いをした。





私は、話の流れで、さりげなく聞いてみた。


「部長の方こそ、彼女つくらないんですか」


部長の浮いた話は聞いたことがない。


すると、私の言葉に、部長は眉間にシワをよせ、


「核心突くねえ」


と苦笑した。


核心……東雲部長は何かを抱えているのだろうか。


「核心を突いてきた君は……エライ」


部長はそう言って、手にしていたえだまめの殻をポイと捨て、また別のえだまめの殻を手に取り、人差し指と親指でつまみ、じっとそれを見ている。


「――ふむ」


私は何杯目かのビールをぐびっと喉に流した。


もうお腹はいっぱいだったのだけれども。


もっと酔っていたかったんだ。


「私は……部長の傍にいたい」


「ん?」


部長はまどろんだ目で私を見た。


「酔ったか。カカカ」


「酔ってなくとも、部長の傍にいたいです」


「――」