「何をしてでも生き残れ…死ぬなよ。」ヤースはカッセと名乗った坊主頭の青年の肩に手をあて去っていった。
　　そして、その直後に湖から矢が飛んできた。
　「盾で防げ！切り払え！」ヤースは、馬に跨がりながら叫び、盾で守られた装置に点火の指示をあたえ、その装置から全部隊離れはじめた。
　「……。何故何も起きないのだ…。」ヤースは困惑していると、部下の悲鳴が聞こえ始め、やっと我にかえり悲鳴が上がった方へ駆けていった。ヤースが駆けつけた時には、応戦している部下は１０人、敵兵は軽く１０００人を超していた。ヤースは敵部隊に飲み込まれつつある味方の所に敵兵を薙ぎ倒しながら行き、重傷な兵士を馬にのせ、馬を守りつつ少しづつ後退させた。しばらくして、地響きを上げながら突撃して来た部隊は、ヤース達の行く手を阻む敵兵達を薙ぎ倒し、貫きながら押し返しだした。
　「ダン卿ー！ご無事ですか！」坊主頭の兵士は敵を切り伏せ、突き刺し、討ち取った敵の武器を奪い後ろから斬りかかろうとした敵の剣を打ち上げ、切り下ろした。
　「カッセか！？陣形を立て直される前に…ハッ！潰すぞ！」数人がかりで斬りかかってきた敵を一降りで斬り伏した。
　　ヤース達はカッセによる思わぬ援軍により勢いづき、敵の混乱をも重なり、形勢が一気に逆転し、初戦を辛勝で幕を閉じた。が、初戦から数分後に第二戦が幕を開ける事になるのだが、ヤース達はまだその事を知らなかった。
　「被害状況はどうなった。」
　「敵水軍による被害は、死者二千五百名、騎兵五十名のうち三十名は馬を失っただけです。」
　「カッセ。戦死した仲間達に墓を作ってやってくれ…。わしは…エレジー様に報告してこよう。」それぞれの行動をするために、別れようとした時、
　「ダン卿ー！敵襲です！リフレント卿が襲われております。」ヤースはカッセに目を向け、カッセは頷き直ぐに行動を起こした。ヤースは伝令に道案内を頼み、カッセは仲間達を集め始めた。
　「案内ご苦労。他の仲間達を集めてくれ。」ヤースは戦闘になっている場所を確認し、馬足を急いだ。
　「邪魔だ！」馬の勢いを殺さず突っ込み右へ左へ剣を振り、もう少しで突破出来そうな所で剣が折れ横から突き刺そうとしている敵を見つけ、折れた剣では受け流しきれず馬に刺さり突破したのとほぼ同時に馬が倒れヤースは地面に転がった時、