「ふっ。この戦いで私だけ生き延びてもレン城まで辿り着けないだろうな〜。」スターツは大袈裟に肩を落としながら言った。
 「分かりました。努力してみます。」ランスは苦笑いを浮かべながら言った。話が終わるのを待っていたがのごとく一つの小石が地面に吸い込まれるように消えていった。
 軽装の男が小さく息を吐いた時に、
 「ラード、敵の行動が分かりましたか?」白衣を着た男が言った。ラードと呼ばれた軽装の男は照れ笑いをうかべながら、
 「お、いらしてたんですか。気配を消しながら近づかないでくださいよ。」白衣の男も笑いながら
 「申し訳ない。君なら気付いていると思ってたんで、つい。で、何か分かりましたか?」
 「少しぐらいしか分かりませんでした。場所はここから南東東に馬で…二日ぐらいかな、攻めてくる気はあるようです。最後に私の存在がばれました。まぁ〜予想の範囲ぐらいなのでしょうがね。」
 「おやおや困りましたね。あれほど注意してくださいって言ったのに…。」
 「すいません。さすがに実験後に実戦だと疲れてしまいまして。」
 「そうでしたね。あの実験データはなかなかでしたからね。」うっとりした顔で言った。ラードは呆れながら、
 「カール博士お気を確かに。」はっ、としてカール博士は、
 「申し訳ない。ついつい色々考えてしまいました。」
 「で、実験データから何が出来ましたか?まさか何も出来てないなんて無しですよ。」カール博士は、不気味な笑いを浮かべながら、
 「予想以上の結果でしたよ。武器防具。人造兵士。地属性のみだけど。」ラードの顔に少し影が浮かんだ。
 「では、失礼します。準備などがあるので。カール博士も実用的な実験もしてくださいね。」ラードは一礼しカール博士の横を通り部屋を出ていった。
  それから、二日過ぎし昼。
 「見えて参りました。スターツ様。」
 「よし。小隊長以上は全員集合。作戦を伝える。」小隊長以上の者は一カ所に集まり、その他の兵士は付近を警戒していた。スターツは一同の顔を見てから、