スターツは敵の左側より突撃した。敵が気付き声を上げようとした敵兵を切り裂いた。向きを変えようとする五、六人の敵兵を一秒で切り伏せた。右に左に斬りまくっていたが、一番被害を与えたのは、スターツの愛馬であった。敵兵をひき逃げを繰り返したため、馬自体も傷だらけにはなったが馬もそれなりの防具を身につけさせられていたのでひどい外傷はなかった。
 「ハァハァ…三往復か…まだまだだな。」スターツは自分の部隊へと戻っていった。
 「敵の動きが変だな…全軍敵は浮足立っている。今が好機!突撃せよ!」ランスは全軍に命令しながら誰よりも前に出て敵部隊の中に入っていった。馬を上手く操り飛び交う剣なり槍なりをかわしながら一人また一人と斬り殺した。その後から槍を構えて突撃している兵が敵部隊を小さく分裂させていった。
 「ランス!もうここまで来ていたのか。」
 「スターツ様!ご無事でなによりです。指揮権をお返し致しましょうか?」
 「いちいちそんな事していては士気が下がる。それより敵司令官を見ていないか?」
 「私も突撃したばかりなので見ておりません。」
 「あまりにも弱すぎるな。数だけで勝てるとでも思ったのか。」ランスとスターツは散漫に襲い掛かってくる敵兵を斬った。スターツは全軍に深追いを禁じ功労者を呼び褒章を与え休ました。
 その夜。
 「出発する。遅れるなよ。」馬を駆けさせ始めてすぐに、
 「敵襲ー!」後方から聞こえ、ほとんどの兵は向きを変えた。が、敵の姿が見えずざわつき始めた。そして悲鳴が左右後ろから聞こえ始めた。
 「今のまま全力で前へ進め!…ハアァ…風覇術スピードスター!」スターツ達は指揮が乱れぬように注意しつつ馬を走らせた。スターツ達を背後から攻めた部隊に一人軽装な男が、
 「へぇ〜絶対強制まで使えるんだ。だ・け・ど…まだまだヒヨッコだな。地覇術スパイロック。」その男の手から小さい石が出てきた。一言二言呟いた後石は宙に浮かびスターツ達を追いかけ始めた。
 「周りに敵影があるか?」スターツは周りを眺めながら部下達に聞いた。
 「今の所見えないです。」ランスは仲間達の反応を見ながら答えた。
 「スターツ様こいつはいかがなさいますか?斬りますか?」ランスの右側に立っている兵士の首もとに剣を近づけた。