「…ふぅー」



溜息。
吐き出した息は宙を舞った。


背後から視線を感じた。



-また、あいつだ。



あいつって云うのは、名前も知らないやつで。

あたしが屋上に居ると大抵視線を送ってくるやつだ。




「…なに、」


「いやー、綺麗だなと思って」




あたしは制服のブレザーのポケットから、
煙草を取り出した。