私は美千代さんの声で目を醒ました。
カーテンから朝の光が漏れ暗い部屋を切り裂くように部屋の真ん中を区切っていた。



リビングに降りると浩司さんはスーツ姿で食卓用の椅子に座っていた。



すると、パンの香ばしい匂いが私の鼻を優しく刺激した。



私は美千代さんに誘導されて食卓用の椅子に座った。浩司さんは「よく寝れたかい」と私に聞いてきたので私は「よく寝れました、そのおかげで寝坊しましたけど」と笑いながら伝えた。


美千代さんと浩司さんは笑いながら私に「寝る子は育つ」と二人は口を揃えた。



数分後、仕事に行く浩司さんを私と美千代さんは見届けた。
その後、徐に美千代さんは学校のことを私に聞いてきてきたので、3日ぐらい休みを取ることを伝えた。



それから、私は号君の部屋にクリアファイルを入れた鞄を取りに行き、美千代に挨拶をして号君の家を出た。



帰り間際に美千代さんは「また来てね」と寂しそうな表情を私に向けた。
私は「喜んで」と笑ったら美千代さんも満面の笑みを浮かべた。
その時、私は可愛い人だなと改めて思った。



号君の家から私の家は少し距離があるのでバスを利用することにした。
バスの中はガラガラで人気が無く貸しきり状態だった、あぁ、田舎の特有の光景だと私は笑った。



バスに揺られながら鞄の中から号君のクリアファイルを一冊取り出して膝の上に広げた。