「こんばんわ、須藤 愛弓(すどう あゆみ)さん」



須藤 愛弓(すどう あゆみ)は僕と亜美が通っている美島高校の図書委員をしている。



「何で、須藤さんがこんな場所に居るの??」



亜美はこの状況を把握することが出来ず、僕に疑問の答えを催促してきた。



そんな亜美に一瞥をして僕は須藤愛弓を見ながら念を押すように話し出した。



「僕は別に須藤さんを捕まえて警察に突き出そうとはしないよ、ただ須藤さんが人を殺めた快感や恐怖、人を刺したときの人肉に練り込む感触を聞きたいんだ、僕は想像だけじゃなくてリアルを知りたいだけだ」



僕は体の中から沸き上がる高揚感と興奮を剥き出しにした。



すると、須藤愛弓はこの黒い空間で僕を見ながら微笑んだ。



「連続殺人犯って何??私は廃墟巡りが趣味でこの廃墟に来ただけよ。その時、突然亜美さんが来たから反射的に隠れてしまったのよ。ほら、ただですら私は暗いでしょ??趣味が廃墟巡りだって知られたら恥ずかしいじゃない」





須藤 愛弓は恥ずかしそうにモジモジしているのだが、僕には須藤 愛弓が下手な演技をしているようにしか見えないのだ。



僕は須藤愛弓という人間に興味などない。ただ、リアルな恐怖に興味があるだけだ。



そんな、須藤 愛弓に僕が犯人だと踏んだ理由を提出することにする。



号と須藤愛弓のやり取りをただ聞くことしか出来ない亜美には黒い空間の中で悪魔が牙を剥き出しにして睨み合っているように見えた。



そんな亜美を知ってか知らずか、号は沈黙を破るように再び声を発した。