床がギシギシと音を奏でて鳴いてる。



そして、人が苦しむ悲鳴にも似た足音が遠退くのがわかった、亜美は二階に向かって行ったことを僕に知らせた。




僕がリビングのドアノブに手を添えた時、何故か玄関から再びドアが開く音が聞こえたのだ。



僕はリビングのドアを少し開けて玄関の方を見ると人が立っていたのだ。



僕の目が暗闇になれてきたのか、玄関に立つ人物の輪郭がくっきりと見えた。


少しおかしなことが起こってるらしい。



何故か、玄関に立っているのは先程二階に上がったと思った亜美が立っていたのだ。


なら、先に二階に上がった人物は………まさか。



僕がそんな事を考えている最中に亜美はもう二階に上がって行ったらしい、僕も亜美を追うように二階へ向かった。





二階には部屋が三ヵ所あり、一番奥の部屋のドアが開いている。



亜美と『アイツ』は多分あの部屋に居ると思いながら奥の部屋に向かった。



奥の部屋を覗くように見ると狭い暗闇の中で亜美がポツリと立っていた。



まるで、暗闇に震えるウサギを見ているようだった。


僕は、暗闇を裂くように亜美に放った。



「亜美、少し聞きたいことがあるんだけどいいかい??」



亜美はビクッと背中を跳ねさせて僕の方をブリキの玩具のように振り向いた。



亜美は化け物でも見たのではないかという顔で僕を見ていた。