水溜まりを気にしながら避けて歩く美島高の女子生徒の後ろを憂鬱な顔で歩く。





僕が朝から少し調子が優れないのは昨日の二度に渡っての現場巡りをしたためもあるが、僕が眠りにつく前に亜美からの着信があったからだ。





どうせ明日にでも学校で会うのだからと着信を無視しようとしたのだが、僕の眠りを妨げるように僕が出るまで亜美は携帯を鳴らし続けたのだ。





亜美にどう思われようとも僕には関係ないのだが、眠りを妨げられるのは少々億劫になる。





僕は携帯を手にとり、着信拒否を解くためのボタンを押した。
手のひらサイズの携帯を耳に当てる、どんなに遠くに居ても会話が出来てしまう便利な小型電化製品だが今は便利とは感じない。今は、ただのスクラップだと僕は思った。





そのスクラップの先端の小さな穴から電波に乗って亜美の声が僕の鼓膜を揺らした。





内容は僕の予想通りの内容だ。明日は必ず学校に来ること、放課後のデートのことだ。





亜美はデートの事を強く念押しして僕に伝え、亜美は用事が終わると満足したのか一方的に僕との交信を断ち切った。