「…だったら、丁度良いじゃん。
あたしも返したいものあるし。」


『ハァ?』


だけど、エイジの言葉なんて聞きたくなかった。


だからあたしは、遮るようにして言葉を続ける。



「…明日の朝のホームルーム始まる前に、いつもの非常階段に来てよ。
その時、話しよう?」



言った。


言ってしまった。


もぉこれで、引き返す道はない。



『…何だよ、話って?』


「とにかく、非常階段に来て!!」


心なしかエイジの声が低くなっていた気がして、怖くなった。


だからそれだけ言い、急いで電話を切ってしまった。


きっと、エイジは怒っているのかもしれない。


だけど、あたしだって怒ってるんだ。


クリスマスイブに、あたしはエイジと別れるんだ。


もぉ、こんなの終わりにするんだ。



あたしばっかり好きで、あたしばっかりエイジのことを考えてて。


なのにエイジは、何をやってるのかわかんない。


イブはあたしと過ごして、クリスマスには別の子と?


そんなの、好きだから嫌に決まってんじゃん。


だから、好きだから別れるんだよ。



そしてゆっくりと、携帯についていたストラップを外した。


決心はもぉ、変えられない。


あたしコレをエイジに返して、それで終わり。


元々あたし達は、軽い付き合いだったんだ。


だから、終りだって軽くで良い。


みっともない姿なんか、エイジに見せたくない。